思えば齢16にして初恋真っ直中というのはいかなものだろうかと、ふと考えた。
相方の経験値は今現在鰻登りだというのに、この劣等感はなんだ。
白銀に輝く髪を今すぐ毟り取ってやりたいと思えたのはこれで二回目。
そろそろ夕飯の仕度を始める時間帯が迫りつつある。双子の妹の片割れが食材片手に帰宅するのはもう少し後だろう。
窓から沈む太陽を見上げ、少し泣けてくる。
「くそっ」と悪態付いた瞬間に開けられた部屋のドア。ドアノブを握ったまま目を見開いた相方の姿が一瞬にして歪んでいく。
「開口一番に言う言葉がそれか」
窓から差し込む夕焼け色が白銀の髪を染めていく。それが幻想的に思えるのは夢見がちなのだろうか。
何処を取っても似てない双子だと近所でも有名な双子の相方と今だけ同じ色の髪を持つ事に心躍る思いとは裏腹にやはり幻想だと切り捨てるには余りにも切ない想いが胸を過ぎるのだ。
何かを機敏に感じ取った相方の不機嫌丸出しの顔が一瞬にして困惑気な表情へと変わる。まるで捨てられた子犬のような情けない顔だ。
「どうした、一護」
それはとても、とても甘い声。
くらり、と目眩を起こしそうになるほど甘い声は労るように伸ばされた綺麗な指先が頬を撫でるのに意識を持っていかれた。