最期に笑うのは、自分だろうかそれとも死神だろうか。
最後に笑って死ぬために今を生きる。










 突然の知らせだった。
第15駐屯地区が狙撃されたという知らせは、瞬く間に広まった。
つい最近そこに友人が援軍として向かったのを知っている。
戦禍の渦は治まることを知らず少しづつ拡大を始め、国内でもテロリストが軍に攻撃を仕掛けることが度々ある。その中で第15駐屯地区はテロリストのもっとも標的になりやすい場所だった。
最近ではもっぱら軍の目の上のたんこぶで、漸く重い腰を上げた上層部が一中隊を援軍として向かわせた。
その中に彼の名前を入れたのは他でもない、人事部で働いていた自分だった。
上司の命令。そんな言葉と共に製作した書類に彼の名前を見つけた時、安堵していた部分があった。
士官学校を首席で卒業した彼は、言い意味でも悪い意味でも様々な噂がいつも耳に届く。
そのもっぱらが彼の武勇伝の数々だった。
一等兵が前線に出るのは当然である。そして彼もそれに漏れず前線へと赴いた。その後の経緯は噂でしか聞き及んではいないものの、彼が所属していた部隊は全滅。そして彼だけが生き残り、彼が敵陣営を破壊させたと言う。
短気が売りな彼。彼らしい程、彼は自分の予測の上を行く。だから目が離せないのだと言うのだけれど。それでも彼は昇進することなく一等兵で戦場から戦場をかけていた。
様々な武勇伝の数々と同時に昇進の話しもあったらしい。それを蹴っていたの彼は第15駐屯地区へと出発した。