そもそもの不幸の始まりは、現在進行形で居候中の家庭教師様との出会いからだ。
いくら顔良しスタイル良し頭良しの三拍子揃った色男だろうと、凶悪なまでの疫病神であることには変わりはない。それを最近になって自覚した。つーか、させられた。
神聖な学舎たる学校の風紀を重んじる年齢不詳の風紀委員長こと雲雀恭弥の不滅の強さを目の当たりにさせられながら考えさせられる部分が多々ある。
そもそもあの家庭教師様の知り合いらしい雲雀恭弥の存在は家庭教師様の次ぎに恐怖以外のものでしか無いと言うのに、何故だか気に入られてしまった。
度々学校の放送室を占拠して呼び出される身にもなって欲しいと常々思うのだが、それを言葉にすることはきっとこの学校にも町内にもいやしないだろう。なんせ雲雀と言えばこの並盛一体を取り仕切る地主の様な存在だ。誰も雲雀の名を持つ者には頭が上がらない。そしてその雲雀の名を持つ雲雀恭弥も例に漏れず、雲雀一族の現当主の一粒種である。それだけならば良かったのだが、雲雀一族の独裁は町内のみならず数多に影響力がある。そして雲雀恭弥と言えば、独裁者であった。
まず群れている存在はその存在そのものを噛み殺す。いわば暴力によって存在を抹消させる。何処に仕込んでいるのか愛用の鈍器(トンファー)を振り回し、嬉々として向かってくる姿は、まさに鬼神の様だと言われている。実際その姿を見た者は皆病院送りにされている。
そんな雲雀恭弥と家庭教師様の出会いは一体どのような状況だったのだろうか。考えるだけでも恐ろしい。
神聖な学舎の雰囲気が騒然となっていた。
色彩兼備。いっそ色男と俗世の言葉で表すには少々陳腐に聞こえる言葉がまさに当てはまるような新任教師の赴任は学園に嵐の予感をもたらした。
ふと、沢田綱吉の人より優れた直感が予言する。
顔面蒼白となりつつ、現在目の前で不適に笑みを浮かべた新任教師に目が釘付けだ。それはもう、ガン見である。
ガタガタブルブル。まるで捨てられた子犬の様なその姿は恐怖で引きつっている。
人生、諦めが肝心だ!